標本調査法
母集団の全量を集めるのは難しいことを前述しましたが、ここでは一部のデータである標本を利用した調査方法について記載します。
標本調査法
標本調査法とは、標本を使用した調査方法です。
母集団の一部から標本を取得することを標本抽出(サンプリング)といいます。
標本抽出にはいろいろなサンプリング方法があります。
無作為抽出法
無作為抽出法とは、母集団から抽出する標本を無作為(ランダム)に抽出します。
また、母集団から均等に無作為に取得できることを単純無作為抽出法といいます。
有意抽出法
有意抽出法とは、母集団から標本を抽出するのが無作為とは異なり何かしらを指定して抽出します。
有意選出法ともいい、魚を食べているかの調査をするとして海の近くに住んでいる家を対象にするなどが考えられます。
有限母集団
母集団には、有限母集団と無限母集団があります。
アンケートなどで母集団は有限ですので有限母集団になりますが、くじを引いてそのくじを元に戻すような実験では母集団が無限になりますので無限母集団になります。
有限修正
有限修正とは、有限母集団から標本抽出していくと母集団の数が減り偏る可能性がありますので行います。
各種の標本抽出法
標本抽出法には、次のものがあります。
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単純無作為抽出法(Simple Random Sampling)
すべての個体が等しい確率で選ばれるように標本を抽出する方法です。
抽選や乱数表、コンピュータの乱数生成機能を使用して実施されます。
偏りが少なく、統計的に最も基本的な方法です。 -
系統抽出法(Systematic Sampling)
事前に決められた間隔で個体を選びます。
簡便で、リストが系統的に並んでいない限り、無作為抽出と同様の結果を得られます。 -
層化抽出法(Stratified Sampling)
母集団を異なる「層」に分け、それぞれの層から無作為に標本を抽出します。
各層が均一になるように設計されるため、層ごとの特性を考慮した推定が可能です。
全体の代表性を高めることができます。 -
クラスタ抽出法(Cluster Sampling)
母集団を「クラスタ」(小さな集団)に分け、いくつかのクラスタを無作為に選び、選ばれたクラスタ内のすべての個体を調査します。
大規模な地理的領域の調査に適しています。
費用や時間を節約できますが、選ばれたクラスタが全体を代表するかどうかの注意が必要です。 -
多段抽出法(Multistage Sampling)
複数の抽出段階を持つ方法で、最初にクラスタ抽出を行い、次にそのクラスタ内でさらに無作為抽出を行うなどがあります。
大規模な調査において費用対効果を高めるために使用されます。 -
非確率抽出法(Non-Probability Sampling)
抽出の際に確率が均一でない方法です。
便利抽出法(取得したい個体を選択)や判断抽出法(調査者の判断で選択)やクォータ抽出法(特定の基準を満たす個体を選択)があります。